ppiは自分で計算できる
ppi(pixels per inch)は、1インチあたりに何ピクセル並んでいるかを表す密度の指標です。次の式で求められます。
ppi = √(横ピクセル² + 縦ピクセル²) ÷ 画面の対角インチ
27インチ・2560×1440の場合なら、√(2560² + 1440²) = 2937 ピクセルが対角方向のピクセル数。これを27で割って108.8ppiとなります。
数式が面倒なら、下の早見表から自分の候補を探してください。
サイズ×解像度 ppi早見表
| サイズ | 解像度 | ppi | 体感 |
|---|---|---|---|
| 21.5インチ | 1920×1080 | 102.5 | 等倍で自然 |
| 23.8インチ | 1920×1080 | 92.6 | 等倍の実用下限 |
| 27インチ | 1920×1080 | 81.6 | ドットが見える。文字が粗い |
| 27インチ | 2560×1440 | 108.8 | 等倍でちょうどいい |
| 27インチ | 3840×2160 | 163.2 | 等倍では小さすぎる。要スケーリング |
| 31.5インチ | 2560×1440 | 93.2 | 等倍。やや粗い |
| 31.5インチ | 3840×2160 | 137.7 | スケーリング125〜150%が快適 |
| 34インチ | 3440×1440 | 109.7 | 27インチWQHDとほぼ同じ密度 |
| 参考:MacBook Air 13 | 2560×1664 | 約224 | Retina |
この表で最も重要なのは、27インチのフルHDだけが極端に低いという点です。23.8インチのフルHDが92.6ppiなのに対し、同じ解像度で27インチにすると81.6ppiまで落ちます。画面が大きくなったぶん、1ピクセルが物理的に大きくなるからです。
「大きい画面がほしい」と「広く使いたい」は別の要求
モニター選びで混乱が起きるのは、この2つが区別されていないためです。
- 作業領域を広げたい=必要なのは解像度。ピクセル数が増えないと、ウィンドウを並べられる量は増えません。
- 文字を大きく表示したい=必要なのは画面サイズ、またはスケーリング設定。解像度を下げても文字は大きくなりますが、同時に粗くなります。
27インチのフルHDは「大きくしたい」だけを満たし、「広く使いたい」を満たしません。表示される情報量は23.8インチのフルHDと1ドットも変わらず、ただ文字が大きく粗くなるだけです。デスクの奥行きに余裕があって文字を大きくしたいなら、23.8インチを近くに置くほうが解像感は保てます。
スケーリングを入れると話が変わる
ppiが高すぎる画面は、OS側のスケーリングで文字サイズを補正して使います。
macOSの場合
macOSは内部で2倍の解像度を描画してから縮小する方式(HiDPI)を採るため、ppiが200前後の画面で最もきれいに表示されます。27インチ4K(163.2ppi)は「2倍で描いて縮小」の中間になるため、標準の解像度設定では文字がやや大きめ、疑似解像度を上げると若干甘くなります。Macで27インチを使うなら、実は4KよりWQHDのほうが素直に見えるという評価も少なくありません(等倍で108.8ppiが扱いやすいため)。
Windowsの場合
Windowsは任意倍率のスケーリング(100/125/150/175/200%)が使えます。27インチ4Kなら150%が定番で、この場合の実効的な作業領域は2560×1440相当。つまり「WQHDの広さで、文字は4Kの精細さ」という状態になります。これが27インチ4Kの最大のメリットです。
ただしスケーリングに対応していない古いアプリでは文字がぼやけることがあります。業務で特定のソフトを使っている場合は、そのソフトの高DPI対応状況を先に確認してください。
視距離を入れて考える
ppiが同じでも、画面までの距離が変われば見え方は変わります。視力1.0の人が識別できる角度はおよそ1分(1/60度)とされ、ここから「その距離でドットが判別できなくなるppi」を逆算できます。式は次のとおりです。
必要ppi = 87,320 ÷ 視距離(mm)
| 視距離 | ドットが判別できなくなるppi | これを満たす構成 |
|---|---|---|
| 40cm | 218ppi | ノートPCのRetina画面クラス |
| 60cm | 146ppi | 27インチ4K(163.2ppi) |
| 80cm | 109ppi | 27インチWQHD(108.8ppi) |
| 107cm | 82ppi | 27インチフルHD(81.6ppi) |
この表は逆から読むほうが実用的です。ある構成のドットが見えなくなるまでに必要な距離に置き換えると、こうなります。
| 構成 | ppi | 必要な視距離 | デスクで実現できるか |
|---|---|---|---|
| 27インチ フルHD | 81.6 | 約107cm | ほぼ不可能 |
| 27インチ WQHD | 108.8 | 約80cm | 奥行き70cmのデスクなら届く |
| 27インチ 4K | 163.2 | 約53cm | 一般的な着座位置で満たす |
| MacBook Air 13 | 約224 | 約39cm | ノートの標準的な距離で満たす |
これは「これ未満だと使えない」という線ではなく、ドットの粒が意識に上るかどうかの境界です。それでも27インチフルHDに107cmが必要という結果は、デスクでは現実的でないことを示しています。一方、27インチWQHDは奥行きに余裕のあるデスクなら境界に届き、27インチ4Kは通常の着座位置(50〜70cm)で余裕をもって満たします。
買う前に、いま座っている位置から画面を置く予定の場所までをメジャーで測っておくと、この表だけで判断できます。壁付けデスクで50cmしか取れない環境では、27インチフルHDの粗さは確実に気になります。
判断の手順
- 視距離を測る。60cm未満なら高ppi側(4K+スケーリング)が有利。80cm以上取れるなら低ppiでも実用範囲。
- OSを確認する。Windowsなら27インチ4K+150%が最もバランスが良い。macOSなら27インチWQHDの等倍が素直。
- 「広さ」か「大きさ」かを決める。広さが欲しいなら解像度、大きさが欲しいならスケーリング。この2つを混ぜて考えないこと。
CONCLUSION
27インチのフルHDは81.6ppi。同じ解像度の23.8インチより1割以上粗くなる。
ppiはサイズと解像度から自分で計算できます。27インチならWQHD(108.8ppi)が等倍で扱いやすく、Windowsで作業領域も欲しいなら4K+150%スケーリングが最適解になります。判断を分けるのは視距離とOSの2つで、どちらも買う前に確認できる情報です。



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