リュックを選ぶとき、最初に目に入るのが容量(L)だ。ところがこの数字は、メーカーごとに測り方が違ううえに、そもそも公表していないブランドもある。「20Lと24Lで何が変わるのか」に答えられる情報がほとんど出回っていないのが実情だ。
この記事では、実際の製品の公式スペックを使って、容量Lという数字をどう読めばいいかを整理する。
容量別の目安|実在する製品で見る
| 容量 | 実在する製品 | できること |
|---|---|---|
| 19L | エースジーン ガジェタブル WR2(15.6インチPC・B4対応) | 通勤・カフェ作業。1泊出張には足りない |
| 20L | Aer City Pack Pro 2 20L(44.5×30.5×18cm・1,230g) | 通勤+ジム着。公式は1〜2泊も可としている |
| 22L | グレゴリー ルーヌ22(880g) | 通勤・カフェ作業。軽さとのバランス帯 |
| 24L | Aer City Pack Pro 2 24L(46×31.5×18cm・1,300g) | 通勤+1〜2泊の出張を1つで |
| 28L | ノースフェイス シャトルデイパック NM62615(約950g) | 荷物が多いビジネスシーン。弁当や資料も |
ざっくり言えば、19〜22Lが「1日ぶんの荷物」、24〜28Lが「1泊ぶんの荷物」の境界線になる。
★重要:容量Lは外寸から計算できない
ここが、この記事でいちばん伝えたい点だ。
Aer City Pack Pro 2の公式スペックで実際に計算してみる。
- 20Lモデル:44.5 × 30.5 × 18cm → 単純計算で24.43L。公称は20L(外寸比 約82%)
- 24Lモデル:46 × 31.5 × 18cm → 単純計算で26.08L。公称は24L(外寸比 約92%)
同じブランドの、同じシリーズの、同じ世代の製品でも、外寸から容量への換算率が82%と92%で10ポイント違う。20Lモデルはサイドの一方がファスナーポケットに割かれている一方、24Lは両サイドがボトルポケットという構成差があり、この種の内部構造の違いが数字に効いている。
結論として、外寸から容量は逆算できないし、容量から外寸も逆算できない。異なるブランド間で「20L対24L」を比べても、実際にどれだけ入るかの差はその数字どおりにはならない。
そもそも容量を公表していないブランドもある
日本製バッグのmaster-pieceは、公式サイトで容量(リットル)を公表していない。ネット上で見かける「25L」といった数字はメーカー公表値ではなく、販売店や第三者が推定したものだ。この場合は外寸(cm)で判断するしかない。
「何が入るか」から逆算する
数字が当てにならない以上、実務的な決め方は「入れるものを先に固定する」ことになる。当サイトでは持ち物側の記事を2本用意している。
- リュックの中身|カフェで1日作業するための定番8点 — この8点が収まれば19〜22Lで足りる
- 1泊2日の出張パッキング|持ち物リスト14点 — この14点を入れるなら24L以上が必要
迷ったら、いま使っているバッグの中身を机に全部出して数えてみるのが早い。8点前後なら20L級、着替えが加わって12点を超えるなら24L級、というのが実感に近い目安になる。
容量が足りない/余ると何が起きるか
足りない場合:荷物が「詰まる」ことでPCが危なくなる
容量ぎりぎりまで詰めると、PCスリーブが内側から押されて、PC本体に圧力がかかる。バッグの前面から強い衝撃を受けたときの緩衝も効かなくなる。16インチMacBook Proのような20万円超の機材を運ぶなら、容量には常に2〜3割の余裕を持たせたい。
余る場合:形が崩れて自立しなくなる
逆に容量が大きすぎると、荷物が少ない日にバッグがへたって形が崩れる。床に置いたときに倒れるのは、たいていこのパターンだ。
ただし、これは設計でカバーできる。ノースフェイス シャトルデイパック(28L)は、公式の製品説明に「荷物が少なくても形状を保ちやすい設計」と明記されている。大容量を選ぶなら、メーカーが形状保持について言及しているかを確認すると失敗が減る。
重量とのトレードオフも見る
容量が増えれば重量も増える——とは限らない。実データを並べるとこうなる。
- グレゴリー ルーヌ22:22L / 880g
- ノースフェイス シャトルデイパック:28L / 約950g
- Aer City Pack Pro 2 20L:20L / 1,230g
- Aer City Pack Pro 2 24L:24L / 1,300g
28Lのシャトルデイパック(950g)は、20LのAer(1,230g)より280g軽い。容量が8L大きいのに、である。差を生んでいるのは素材で、Aerは1680D CORDURAバリスティックナイロン、シャトルデイパックは840D ORBITEXナイロンを使っている。重量を決めているのは容量ではなく素材の厚み(デニール数)だ。
機内持ち込みとの関係|Lではなく3辺の合計で決まる
出張で使うなら、もう一つ別の物差しが登場する。航空会社の機内持ち込み規定は、容量(L)ではなく3辺の寸法で決まるという点だ。
国内線の大手2社は、100席以上の機材で「3辺の合計115cm以内(55×40×25cm以内)」を目安としている。この基準に、この記事で挙げたバッグを当てはめてみる。
- Aer City Pack Pro 2 24L:46 + 31.5 + 18 = 95.5cm(余裕あり)
- Aer City Pack Pro 2 20L:44.5 + 30.5 + 18 = 93cm(余裕あり)
24Lクラスのリュックなら、3辺合計は100cmを切る。機内持ち込みで問題になることはまずない。逆にいうと、リュックで持ち込み規定に引っかかるのは35L以上の大型モデルからで、通勤兼用のサイズでは考えなくていい。
ただし100席未満の機材では基準が変わる(ここが落とし穴)
ANA・JALとも、100席未満の小型機では基準が「45×40×25cm」ではなく45×35×20cm・3辺合計100cm以内と一段厳しくなる。地方路線で使われるプロペラ機や小型ジェットがこれに当たる。
この基準でAer City Pack Pro 2 24Lを見ると、3辺合計は95.5cmで100cm以内に収まる一方、高さ46cmが45cmの上限を1cm超える。合計値はクリアしていても個別の辺で引っかかるケースがあるということだ。3辺合計だけを見て安心しないほうがいい。
重量制限は、ANA・JALとも国内線で手荷物と身の回り品の合計10kg以内。バッグ本体1.3kg+16インチMacBook Pro 2.14kg+充電器や小物を足しても余裕がある範囲だ。
なお2026年7月1日搭乗分から「身の回り品」のサイズ基準が新たに明文化され、100席以上の機材では「55×40×25cm以内」の手荷物に加えて「40×30×20cm」の身の回り品を持ち込める形に整理された。LCCはこれとは別の独自基準なので、搭乗前に必ず各社の公式サイトで確認してほしい。
よくある誤解:「大は小を兼ねる」は半分だけ正しい
容量選びで迷ったとき、「大きいほうを買っておけば困らない」と考えたくなる。これは半分は正しく、半分は間違っている。
正しいのは、容量が足りないと買い直しになるという点だ。荷物が入らないバッグは使いようがない。
間違っているのは、大きいバッグには使わないぶんのコストが乗っているという点だ。大きくなれば生地の使用量が増え、重量も価格も上がる。Aer City Pack Pro 2で4L増やすと、重量は70g、価格は4,400円上がる。毎日背負うものなので、使わない4Lのために70gを毎日運ぶ価値があるかは考える余地がある。
判断の分かれ目は、「1泊出張が年に何回あるか」だ。年に数回なら、通勤用は小さめにして出張時だけ別のバッグを使うほうが合理的なことが多い。月1回以上あるなら、兼用できる24Lクラスを選ぶ意味が出てくる。
買う前のチェック手順
- いま持ち歩いているものを机に全部出して数える
- 1泊出張に使う可能性があるかを決める(あるなら24L以上)
- 候補のバッグの外寸(cm)を確認する。容量Lだけで比較しない
- 大容量(26L以上)を選ぶなら、公式が形状保持について書いているかを見る
- 素材のデニール数(1680D/840Dなど)で重量の見当をつける
CONCLUSION
容量Lは目安であって、比較の物差しにはならない
同じブランドの同じシリーズでも、外寸に対する公称容量の比率は82%と92%で10ポイント違います。数字を横並びにするより、「入れるものを先に決めて、外寸で確認する」ほうが確実です。19〜22Lが1日ぶん、24〜28Lが1泊ぶん、という境界線だけ覚えておけば十分です。
PCが入るかどうかの判定はノートPCの「インチ」と実寸の対応表にまとめています。実際のバッグ選びはPCが入るビジネスリュック 厳選3選とAer City Pack Pro 2 レビュー(20Lと24Lの違い)をどうぞ。
バッグ・持ち物カテゴリ全体はバッグ・持ち物 完全ハブから辿れます。



この記事へのご指摘・ご質問
記事の誤り、追加で知りたい点、実際に使った感想などをお寄せください。事実誤認のご指摘は一次情報で確認のうえ本文に反映し、記事末の更新履歴に残します。
※いただいたコメントは編集部が確認したうえで公開します。メールアドレスは公開されません。